中国知的財産制度 Q&A
中国知的財産制度 Q&A


 皆様より多く寄せられた質問について回答を掲載いたします。
 これら回答は、中国弁護士事務所が作成したものですが、あくまでも参考としてご参照ください。当該回答に基づいて損失・損害が生じたとしても、日本貿易振興機構及び作成した弁護士事務所は一切責任を負うことはできません。


目 次

一、専利及び技術について
◆ 専利ライセンス
(問1)関係法律規定に基づき、専利(専利出願を含む)のライセンス契約は主管機関に登録しなければなりません。しかし、法規で定める登録をしなかった場合、ライセンス契約自体が無効になりますか。

(問2)「専利法実施細則」に基づき、専利権を第三者にライセンスする場合、国家知識産権局への登録が必要になりますが、専利ライセンス契約中に許諾対象となる専利権を登録番号等で特定する必要はありますか。また、国家知識産権局に対して、専利証書などの書類を提出する必要はありますか。

(問3)国家知識産権局に提出する専利実施許諾契約登録申請表には、専利番号及び専利の名称を記載しなければなりませんが、専利が3件を超える場合にも、関係する専利番号及び専利の名称を記載した添付資料を提出する必要はありますか。また、権利安定声明に署名もしなければなりませんか。大量の専利権等をライセンスする場合、これら全ての専利番号及び専利の名称を記載した添付資料を提出することはライセンサーにとって大きな負担です。簡略された方法はありますか。

(問4)専利ライセンス契約が専利権及び専利出願中の案件を双方含む場合、専利実施許諾契約登録申請表には、専利権及び専利出願中の案件双方を記載しなければなりませんか。

(問5)専利ライセンス契約を国家知識産権局に登録しなかった場合、ラインセサーへの罰則又は不利益はありますか。

(問6)ライセンス設定の有る専利権が譲渡された場合、ライセンシーがその実施権につき新たな専利権者に対抗するための要件は何ですか。

(問7)専利出願中でまだ権利確定していない技術を中国企業に技術供与する場合、技術輸出入管理条例上また運用上、ライセンス費用を徴収することが可能ですか。

(問8)日本の本社が中国子会社に対して技術援助を提供するための技術援助契約に専利が含まれる場合、この契約書を知識産権局へ登録する必要があると理解していますが、その登録手続きのためには、契約書において許諾対象となる専利の特定が必要ですか。特定しない場合、登録そのものが不要ということになりますか。

(問9)ライセンスの対象が中国以外の外国登録特許のみであっても、中国知識産権局への登録が必要ですか。

(問10)例えばクロスライセンスに関る中国専利出願又は専利権が数千件の場合、当該クロスライセンス契約を中国知識産権局へ登録するには、これら全ての出願番号及び発明の名称を記載した添付資料を提出しなければならないのですか。また、上記登録の手続きをする際に「権利安定声明」に署名する必要がありますが、専利一件毎に一つの署名の代わりに、この数千件をまとめて一つの署名で対応することが可能ですか。

(問11)専利権者が通常実施権を許諾し、その後、専利権が譲渡された場合において、ライセンシーが通常実施権を譲受人に対抗するための要件は何ですか。

◆ 技術ライセンス
(問12)技術ライセンス契約は、「技術契約認定登録管理弁法」に基づいて登録することが必須ですか。登録しなかった場合、ラインセサーへの罰則又は不利益はありますか。

(問13)「技術契約認定登録管理弁法」に基づく技術ライセンス契約の登録は、どこに申請すればよいでしょうか。

(問14)日本企業と中国企業とが締結した共同研究開発契約において、「新たに創出された技術成果は日本企業が100%所有する(技術成果の全ては日本企業に原始帰属させる)」という規定を設けることは可能ですか。上記中国企業が国有企業の場合でも、そのような規定を設けることは可能ですか。

◆ 技術輸出入
(問15)日本企業が中国企業に対して無償で行う技術指導であっても、技術輸出入管理条例の規定は適用されますか。

(問16)輸入禁止・輸入制限技術目録の遡及効はどうなっていますか。

◆ 製品偽造防止
(問17)中国外で製造された、外国の偽造防止技術が利用された製品を中国に輸入する場合、中国の「製品偽造防止監督管理弁法」に基づく登録登記を行う必要がありますか。

二、商標について
◆ 商標ライセンス
(問18)関係法律規定に基づき、登録商標の使用ライセンス契約は主管機関に登録しなければなりません。しかし、法規で定める登録をしなかった場合、ライセンス契約自体が無効になりますか。

(問19)商標使用ライセンス契約を商標局に登録しなかった場合、ラインセサーへの罰則又は不利益はありますか。

(問20)商標出願に基づく商標使用ライセンス契約を締結することは可能ですか。

(問21)商標使用ライセンスにかかわるロイヤリティの一般的な計算方法としては、売上高に一定のパーセンテージ(例えば1%)を乗ずることは妥当ですか。パーセンテージ・金額に上限はありますか。

(問22)商標使用ライセンス契約の種類が「通常ライセンス」となる場合、ライセンシーは、商標権侵害行為に対して、自ら訴訟を提起することができますか。

◆ 商標出願
(問23)WTO加盟後の中国においては、ワイン・スピリッツの名称から構成される商標登録出願は、誤認混同の有無に関わらず商標登録できないはずですが、その根拠規定は何ですか。

(問24)簡体字による商標と繁体字による商標を一つの出願で出願することは可能ですか。また、簡体字による商標権を有している場合、同一区分において、繁体字による商標出願があった場合、後願の繁体字による商標出願は拒絶されますか。逆も同様ですか。簡体字による商標権がある場合、同一区分に該当する製品において、繁体字による商標を使用した場合、商標権侵害となりますか。逆も同様ですか。

(問25)中国において、繁体字での商標登録があるが、実際には簡体字の商標を使用し、当該簡体字の商標に「」を付していた場合、商標法44条に規定する「登録商標を許可なく変更したとき」に該当しますか。あるいは商標法48条に規定する「登録商標と偽っているとき」に該当しますか。また、これにより何らかの罰則が課される事がありますか。

(問26)中国商標法において、「地名」に関する商標を拒絶する根拠規定を教えていただけますか。

(問27)中国商標法第41条第1項の取消事由の判断時点は、原則として登録時ですか。例外はありますか。

(問28)中国商標制度では「人物名」の商標を登録できますか。「人物名」が、中国及び中国以外の国における「歴史上の人物名」であった場合には商標登録できますか。

(問29)日本における一般名称が中国において商標権登録されている場合、中国から日本へ輸出する貨物において、その一般名称を普通に表示した場合、商標権侵害となりますか。日本における一般名称であることを理由に、中国商標法第11条に基づいて、係る登録商標を取り消すことは可能ですか。また、中国商標法第11条における「一般的に用いられる名称」には、外国における一般名称が含まれますか。

(問30)パリ条約6条の3によれば、同盟国の紋章、同盟国が採用する監督用・証明用の公の記号・印章等の模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし(商標登録からの排除)、また、権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその構成部分として使用すること(商標使用の禁止)を、適当な方法によって禁止する、と定めていますが、中国において、パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標登録出願があった場合に、これを拒絶する根拠となる法令及び条文は何ですか。パリ条約6条の3に該当する商標登録がなされた場合に、これを無効する根拠となる法令及び条文は何ですか。

(問31)中国において、パリ条約6条の3にもとづく国際事務局からの通知内容を明らかにするために、何らかの手段が講じられているのですか。仮に講じられている場合には、その方法如何ですか。

(問32)パリ条約6条の3に該当する商標登録出願があった場合に、その出願人が当該紋章等を定める国・政府自身の場合、当該商標登録出願はどのように取り扱われるのですか。

(問33)中国において、パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標としての使用があった場合に、この使用を禁止する根拠となる法令及び条文は何ですか。どのような救済・制裁の手段が用意されていますか(違反者に対する刑事罰・行政処分、違反者に対する外国政府による民事訴訟など、根拠となる条文を含めて)。

(問34)パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標としての使用があった場合に、その使用の可否を判断するに当たり、「当該権限のある(外国の)官庁」について、中国において、法令ではどのように解されていますか。

(問35)中国において紋章等の保護を図る場合、パリ条約6条の3による通知を通じた保護と、各諸外国において商標登録した場合の保護を比較し、どちらがよりメリットがありますか。

(問36)紋章等の保護について、パリ条約6条の3による通告が少ない理由について特段の理由がありますか。

(問37)中国における商標出願にかかる費用はどの程度ですか。

(問38)日本国の地方行政機関(例えば、●●県、●●市)は、中国における商標登録出願人となることは可能ですか。

◆オリンピック標章
(問39)中国で開催する展示会において、「オリンピック((奥运会)」といった名称を用いたコンテスト(competition)を行うことは商標法その他関連法規からみて問題はありますか。或いは、使用に当たって政府当局の許可を必要としますか。

◆刑法第214条及び刑事案件の立件訴追基準
(問40)刑法214条に規定されている登録商標を冒用行為(中国語では、「假冒注册商標」)とはどのような行為を指していますか。213条に規定されている、「登録商標の所有者の許諾を経ないで同一種類の商品にその登録商標と同一の商標を使用する行為」と異なるのですか。

(問41)「最高人民検察院、公安部による公安機関の管轄する刑事案件の立件訴追基準に関する規定(2010年5月7日公布)」(以下は「当該規定」という。)の第71条(二)に「2種類以上の他人の登録商標標識を1万点以上偽造、無断製造若しくは偽造、無断製造した登録商標標識を販売し、又は不法経営金額が3万元以上、又は違法所得金額が2万元以上である場合。」の「2種類以上の他人の登録商標...」とは「2種類以上の他人」となりますか、それとも「2種類以上の登録商標」となりますか。

◆行政訴訟における新証拠
(問42)商標評審委員会などの行政機関を被告として、提起した行政訴訟で、中級人民法院は当該新たな証拠を受理し、原告提出の証拠として採用しなければならないですか。あるいは、採用するかしないかは中級人民法院の裁判官の裁量になりますか。

三、著作権について
(問43)中国国内の会社が、日本の会社に著作権ライセンス料を海外送金する際、どのような資料を提出するべきですか?

(問44)海外のコンテンツを中国に流通させる際に注意すべき規制において、コンテンツ種類別に、どのような総量規制や、放送・配信時間の規制がありますか(TV番組、映画、アニメ、コミック等のジャンル別の規制、TV番組の中でもドラマや映画等による規制がありますか)。

(問45)予め制御用ソフトウェアをインストールした機器を販売した場合、そのソフトウェアに関る著作権に関しては、使用許諾を購入者と締結したと見なされるのですか、若しくは著作権自体を譲渡したとみなされるのですか。購入者はそのソフトウェアを抽出・コピーし、名称を変更して販売する場合、著作権の侵害になり得ますか。

(問46)コンピュータ用のフォントライブラリは、著作権による保護を受けられますか。また、合法的に購入した著作権登録のあるフォントライブラリを商用に使用し、例えばそのライブラリにおけるフォントを使って製品の包装や宣伝語を作る場合、当該ライブラリの著作権者から著作権侵害を理由として訴えられる場合がありますか。

(問47)行政機関のなかには、無断で、現地新聞の記事(当局自らの案件が取り上げられている記事)を転載しているケースがあるようです。行政機関ウェブサイトなどに掲載されているニュースをニューズレター等へ転載することについて許可は得ているものの、上記の無断転載記事を、ニューズレターに転載することは著作権上問題がありますか。

四、ドメイン名の登録について
(問48)中国における「.CN」ドメイン名は外国企業が申請できますか?

五、模倣品業者に対する民事訴訟について
(問49)日本の会社が中国国内において模倣品業者に対して民事訴訟(損害賠償請求)を提起し、結果として賠償金が得られた場合、その賠償金を日本の会社に送金する事は可能ですか?可能である場合、手続きはどのように行なうのですか?

六、商用暗号について
(問50)中国における外商投資企業との商業上のやり取りをする際に、国外の暗号製品を使用しようとする場合、法律上の規制はありますか。あれば、使用のための手続きは何ですか。


一、専利及び技術について

◆ 専利ライセンス

(問1)関係法律規定に基づき、専利(専利出願を含む)のライセンス契約は主管機関に登録しなければなりません。しかし、法規で定める登録をしなかった場合、ライセンス契約自体が無効になりますか。              →目次へ戻る

(答)
 「中華人民共和国専利法実施細則」第14条第2項には「専利権者が第三者と締結した専利実施許諾契約は、契約発効日から3ヶ月以内に国務院専利行政部門に登録しなければならない。」と規定されているので、専利ライセンス契約は登録を行う必要があります。
 ただし、下記の法律規定に基づき、専利ライセンス契約を登録しなくても、契約自体の効力には影響がありません。
 「中華人民共和国契約法」第44条には「法により成立した契約は、成立時より効力を生じる。ただし、法律、行政法規において、許可、登記などの手続きを行った後発効すると定める場合、その規定に従う。」と規定されています。「専利法」には、登録しなければならないと規定されていますが、登録が契約の発効の前提条件であると規定されていないため、専利ライセンス契約は成立時より効力を生じます。
 また、最高人民法院が2002年10月16日に公布した「商標民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」第19条第1項には「商標使用許諾契約が登録されなくても、当事者が別途約定した場合を除き、当該許諾契約の効力に影響しないものとする。」と規定されています。実務上、未登録の専利ライセンス契約の効力については、上記の商標に関する司法解釈を参照しています。
 従いまして、国家知識産権局に専利ライセンス契約を届け出なくても、契約自体の効力に影響はありません。

(問2)「専利法実施細則」に基づき、専利権を第三者にライセンスする場合、国家知識産権局への登録が必要になりますが、専利ライセンス契約中に許諾対象となる専利権を登録番号等で特定する必要はありますか。また、国家知識産権局に対して、専利証書などの書類を提出する必要はありますか。         →目次へ戻る

(答)
 「専利実施許諾契約登録管理弁法」第20条に基づき、国家知識産権局が専利契約登録の関係内容を専利登記簿に登記し、且つ、専利公報に専利番号などの内容を公告することから、専利ライセンス契約を登録する場合、専利ライセンス契約中に許諾対象となる専利権を専利番号で特定する必要があります。
 また、「専利実施許諾契約登録管理弁法」第13条に基づき、専利ライセンス契約を国家知識産権局に届け出るためには、以下の書類が一式2部必要です。
 ① 専利実施許諾契約登録申請表
 ② 専利ライセンス契約の副本
 ③ 専利証書又は専利申請の受理通知書のコピー
 ④ ライセンサーの身分証明
 ⑤ 他の書類
  上記の規定に基づき、国家知識産権局に対して、専利証書などの書類を提出する必要があります。

(問3)国家知識産権局に提出する専利実施許諾契約登録申請表には、専利番号及び専利の名称を記載しなければなりませんが、専利が3件を超える場合にも、関係する専利番号及び専利の名称を記載した添付資料を提出する必要はありますか。また、権利安定声明に署名もしなければなりませんか。大量の専利権等をライセンスする場合、これら全ての専利番号及び専利の名称を記載した添付資料を提出することはライセンサーにとって大きな負担です。簡略された方法はありますか。   →目次へ戻る

(答)
 国家知識産権局は許諾対象となる専利の関係内容(専利名称、専利番号など)を専利登記簿に登記し、且つ、専利公報に公告しなければならないので、その関係内容を把握するため、大量の専利権などをライセンスする場合でも、登録申立人に、その専利番号及び専利の名称を記載した資料を作成し、「専利実施許諾契約登録申請表」と一緒に提出しければならないよう要請しています。且つ、当該申請表および添付資料には割り印が必要です。ただし、「専利実施許諾契約登録申請表」の権利安定声明に1つ署名するだけでよく、複数の権利安定声明に署名する必要はありません。

(問4)専利ライセンス契約が専利権及び専利出願中の案件を双方含む場合、専利実施許諾契約登録申請表には、専利権及び専利出願中の案件双方を記載しなければなりませんか。                          →目次へ戻る

(答)
 「専利実施許諾契約登録管理弁法」第2条に「国家知的産権局が全国の専利実施許諾契約(専利出願実施許諾契約を含め、以下「専利契約」を称する)の登録業務を行う。」と規定され、また、第5条に「当事者が専利契約の発行日以後の三ヶ月以内に、登録手続きを行わなければならない。」と規定されているため、専利出願実施許諾契約も登録の手続きを行わなければなりません。
 専利ライセンス契約が専利権及び専利出願中の案件を双方含む場合、専利実施許諾契約登録申請表に専利権及び専利出願中の案件双方を記載する必要があります。

(問5)専利ライセンス契約を国家知識産権局に登録しなかった場合、ラインセサーへの罰則又は不利益はありますか。               →目次へ戻る

(答)
 「専利法」には、専利ライセンス契約の登録をしなかった場合の罰則が規定されていません。
ただし、専利ライセンス契約の登録をしなければ、下記の不利益を被る恐れがあります。
 ①「専利実施許諾契約登録管理弁法」第7条に「当事者が専利契約の登録証明を持って、海外送金及び税関おける知的財産の登録に関する手続きを行う。」と規定されているので、専利ライセンス契約の登録をしなかった場合には、海外送金及び税関における知的財産の登録を行うことができない恐れがあります。
 ②「専利実施許諾契約登録管理弁法」第8条に「登録した専利ライセンス契約の許諾性質、範囲、期間、ロイヤルティ額等は、人民法院や専利業務管理部門が侵害紛争又は発明者報奨紛争につき調停、判断する際の参考(例えば損害賠償額の認定、報奨金の算出等)になる」と規定されているので、専利ライセンス契約の登録をしなければ、当該契約にかかわる専利の権利侵害などの紛争に巻き込まれた場合、当該契約の内容が参考とならない恐れがあります。

(問6)ライセンス設定の有る専利権が譲渡された場合、ライセンシーがその実施権につき新たな専利権者に対抗するための要件は何ですか。     →目次へ戻る

(答)
 「最高裁判所による技術契約紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する解釈」(法釈[2004]20号)第24条第2項により、譲渡人と譲受人が締結した専利権、専利出願権の譲渡契約は、当該契約の成立前に譲渡人と第三者が締結した専利実施許諾契約(以下、「先行実施許諾契約」という)の効力には影響を与えないと規定されています。これによって、先行実施許諾契約におけるライセンシーは、その実施権の存在さえ立証できれば、新たな専利権者に対抗することができます。

(問7)専利出願中でまだ権利確定していない技術を中国企業に技術供与する場合、技術輸出入管理条例上また運用上、ライセンス費用を徴収することが可能ですか。
                               →目次へ戻る

(答)
 外国企業が中国企業にまだ専利権を受けていない技術を提供する場合であっても、ライセンス費用を徴収することができます。なお、ライセンス費用を徴収する根拠に関しては、以下の2つの場合に分けて説明します。
 ① 専利出願後、未公開の場合、ノウハウの技術ライセンスとしてライセンス費用を徴収することができます。「中華人民共和国技術輸出入管理条例」第2条に「本条例にいう技術輸出入とは、中華人民共和国国外から中華人民共和国国内へ、又は中華人民共和国国内から中華人民共和国国外へ、貿易を通じて投資又は経済技術提携の方法により技術を移転する行為をいう」と規定されており、ノウハウは技術輸出入の一種です。当該行為には特許権の譲渡、特許出願権の譲渡、特許実施許諾、ノウハウ譲渡、技術サービス及びその他の方法による技術移転が含まれます。
 ② 専利出願後、すでに公開された場合、「中華人民共和国専利法」第13条の規定に基づき適切な費用を徴収することができます。第13条には「発明専利出願公開後、出願人は、その発明を実施する単位又は個人に適切な費用の支払いを請求することができる。」と規定されています。
 なお、上述した2つの場合のいずれにおいてもライセンス費用を徴収することができますが、当該専利出願が最終的に専利権を受けなかった場合にどうするかというリスクは残ります。最終的に専利権が付与されなかった場合に技術許諾契約に及ぼすリスクを回避するために、専利出願中の技術の許諾契約において、当該技術が最終的に専利権が付与されなかった場合における技術ライセンス費用の処理方法を、明確に約定することをお勧めいたします。

(問8)日本の本社が中国子会社に対して技術援助を提供するための技術援助契約に専利が含まれる場合、この契約書を知識産権局へ登録する必要があると理解していますが、その登録手続きのためには、契約書において許諾対象となる専利の特定が必要ですか。特定しない場合、登録そのものが不要ということになりますか。
                                →目次へ戻る

(答)
 専利ライセンス契約を専利局に登録する場合、契約書において許諾対象となる専利を特定する必要があります。「専利実施許諾契約登録管理弁法」第13条に基づき、専利ライセンス契約の登録には以下の書類が一式2部必要です。
 ① 登録申請表
 ② 契約の副本
 ③ 専利証書又は専利申請の受理通知書のコピー
 ④ 許諾者の身分証明
 ⑤ 他の書類
 なお、技術援助契約が単に意向性の基本契約であれば登録は不要となり、具体的な専利のライセンスを行う際に、具体的な登録手続きをする必要があります。

(問9)ライセンスの対象が中国以外の外国登録特許のみであっても、中国知識産権局への登録が必要ですか。                    →目次へ戻る

(答)
 ライセンスの対象が中国以外の外国登録特許のみであれば、その外国登録特許に関るライセンス契約の登録は必要ありません。

(問10)例えばクロスライセンスに関る中国専利出願又は専利権が数千件の場合、当該クロスライセンス契約を中国知識産権局へ登録するには、これら全ての出願番号及び発明の名称を記載した添付資料を提出しなければならないのですか。また、上記登録の手続きをする際に「権利安定声明」に署名する必要がありますが、専利一件毎に一つの署名の代わりに、この数千件をまとめて一つの署名で対応することが可能ですか。                            →目次へ戻る

(答)
 専利ライセンスの一契約が複数件の専利及び専利出願に関る場合、3件を超えていれば、添付資料に出願番号および発明名称を記載して提出しなければなりません。
 また、専利ライセンスの一契約に複数件の専利及び専利出願がある場合、一つにまとめた「専利実施許諾契約登録申請表」の権利安定声明に1回だけ署名すれば問題ありません。ただし、当該申請表および添付資料には割り印が必要となります。

(問11)専利権者が通常実施権を許諾し、その後、専利権が譲渡された場合において、ライセンシーが通常実施権を譲受人に対抗するための要件は何ですか。
                                →目次へ戻る

(答)
 「最高裁判所による技術契約紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する解釈」第24条第2項の規定により、譲渡人と譲受人が締結した専利権、専利出願権の譲渡契約は、当該契約が成立前に譲渡人と他人が契約した専利実施許諾契約(以下、「先行実施許諾契約」という)の効力に影響を与えません。したがって、先行実施許諾契約におけるライセンシーは、通常実施権の存在さえ立証できれば、契約登録の有無を問わずに譲受人に対抗できます。

◆ 技術ライセンス

(問12)技術ライセンス契約は、「技術契約認定登録管理弁法」に基づいて登録することが必須ですか。登録しなかった場合、ラインセサーへの罰則又は不利益はありますか。                            →目次へ戻る

(答)
 法律上、技術契約認定登録は義務付けられていません。ただし、「技術契約認定登録管理弁法」第5条は、「法人及びその他組織が国家の関連規定に基づき、締結した技術契約に応じて技術開発、技術移転、技術コンサルティング、技術サービスによる純収入から一定の比例を抽出して職務技術成果完成人及び成果の活用につき重要な貢献をした者に奨励及び報酬を与える場合、関連する技術契約の認定登録を申請しなければならず、且つ関連規定に基づき奨金と報酬を抽出しなければならない。」と規定しており、また、中国契約法第326条は、「職務技術成果の使用権、譲渡権は法人又はその他組織に帰属する場合、法人又はその他組織が当該職務技術成果につき技術契約を締結できるが、当該職務技術成果の使用及び移転により獲得した収益から一定の比例を抽出して、当該職務技術成果を完成した個人に奨励又は報酬を与えなければならない」と規定しています。したがって、これら関連規定により、技術契約の対象技術が職務技術成果に係る場合は、「技術契約認定登録管理弁法」の規定に従って登録しなければなりません。
 なお、「技術契約認定登録管理弁法」には、技術ライセンス契約を登録しなかった場合の企業に対する罰則は規定されていないため、登録しなくても処罰を受けることはありません。ただし、技術ライセンス契約を「技術契約認定登録管理弁法」に基づいて登録しなければ、下記の不利益を被る恐れがあります。
 ① 「技術契約認定登録管理弁法」第6条に「認定登録を申請しなかった技術契約及び登録を許可されなかった技術契約は、科学成果産業化を促進するための納税、融資、奨励等の優遇政策を享受できない。」と規定されているため、契約登録をしなければ、これらの点で不利益を受ける場合があります。
 ② 実務上、登録した技術ライセンス契約の許諾性質、範囲、期間、ロイヤルティ額等は、例えば発明者報奨等の紛争に関する行政処理又は司法裁判における有力な証拠、参考になりうるため、契約の登録が無ければ、上記事情の証明等において不利益を受ける可能性があります。

(問13)「技術契約認定登録管理弁法」に基づく技術ライセンス契約の登録は、どこに申請すればよいでしょうか。                →目次へ戻る

(答)
 「技術契約認定登録管理弁法」第3条に「科学技術部が全国の技術契約認定・登記業務を管理する。省、自治区、直轄市及び計画単列市の科学技術行政部門が本行政区域の技術契約認定・登記業務を管理する。地、市、区、県の科学技術行政部門が技術契約登記機構を設立して、技術契約認定・登記を行う。」と規定されています。
 上記の規定に基づき、各地の「科学技術行政部門」が技術契約認定・登記を担当していますが、具体的な部門は地方によって異なります。例えば、北京市の場合は、北京技術市場管理弁公室が担当機関であり、北京各地に分布する技術契約登録処が申請を受け付けます。

(問14)日本企業と中国企業とが締結した共同研究開発契約において、「新たに創出された技術成果は日本企業が100%所有する(技術成果の全ては日本企業に原始帰属させる)」という規定を設けることは可能ですか。上記中国企業が国有企業の場合でも、そのような規定を設けることは可能ですか。         →目次へ戻る

(答)
 上記共同研究開発契約において、「新たに創出された技術成果は日本企業が100%所有する(技術成果の全ては日本企業に原始帰属させる)」という規定を設けることは法的にみても問題ありません。
 中国企業が国有企業の場合であっても、共同研究開発契約の中に上記の規定を約定することができます。ただし、国有企業が保有する技術成果を基礎にして行なった共同研究開発であって、かつ当該技術成果が国家秘密またはその他の公共利益に係る場合、関係部門の審査認可を受ける必要があるため、共同研究開発契約の中で技術成果の所有権を自由に約定することはできません。

◆ 技術輸出入

(問15)日本企業が中国企業に対して無償で行う技術指導であっても、技術輸出入管理条例の規定は適用されますか。               →目次へ戻る

(答)
 中国技術輸出入管理条例第2条は、「技術輸出入」行為に該当するための3要件を規定しています。
 ① 国境を越えること:中国外→中国内、中国内→中国外のいずれか
 ② 移転の形態:貿易、投資又は経済技術協力の形態で移転
 ③ 技術移転行為:技術を移転する行為の発生が不可欠
 これら3要件を満たしていれば「技術輸出入」行為に該当し、技術輸出入管理条例の適用対象となります。有償か無償かは、技術輸出入行為の該当性を判断する際に考慮される要件ではありません。
 上記技術指導行為は、「日本から中国に来る」、「経済技術協力に該当する」、「技術指導を通じて中国企業が日本企業から獲得する」行為となりますので、上記3要件の全てを満たしています。そのため、当該行為は「技術輸出入行為」に該当し、「技術輸出入管理条例」の適用対象になります。

(問16)輸入禁止・輸入制限技術目録の遡及効はどうなっていますか。
                                →目次へ戻る

(答)
 輸入禁止・輸入制限技術目録の遡及効に関する特段の法律規定は無いため、「中華人民共和国立法法」第84条の遡及効に関する一般規定が適用されます。それ故、輸入禁止・輸入制限技術目録は、改正前の行為に遡及しませんが、改正後の行為に対しては適用されることになります。
 そこで、例えば元々輸入自由の技術が輸入禁止・輸入制限技術目録の改正に伴い、輸入禁止又は輸入制限の技術になった場合、その改正前に行っていた輸入行為は責任を追及されませんが、改正後は輸入制限・輸入禁止に関する規定に従って取り扱わなければなりません。

◆ 製品偽造防止

(問17)中国外で製造された、外国の偽造防止技術が利用された製品を中国に輸入する場合、中国の「製品偽造防止監督管理弁法」に基づく登録登記を行う必要がありますか。                           →目次へ戻る

(答)
 「製品偽造防止監督管理弁法」第22条は、「国外の偽造防止技術と偽造防止技術製品を国内で使用する場合、全国偽造防止弁に報告し偽造防止登録登記を行った後でなければ使用することはできない。」と規定されていますが、ここでいう「国内で使用する」は、中国国内で製造した製品に国外の偽造防止技術又は偽造防止技術製品を使用する意味であり、輸入品に例えば外国の偽造防止シールを使用することは、本条における「国内で使用する」に該当しないと解されているため、「製品偽造防止監督管理弁法」に基づく登録登記を行う必要はありません。

二、商標について

◆ 商標ライセンス

(問18)関係法律規定に基づき、登録商標の使用ライセンス契約は主管機関に登録しなければなりません。しかし、法規で定める登録をしなかった場合、ライセンス契約自体が無効になりますか。                  →目次へ戻る

(答)
 「中華人民共和国商標法」第40条第3項には「商標使用許諾契約は商標局に登録しなければならない。」と規定されているので、商標使用ライセンス契約は登録を行う必要があります。
 ただし、下記の法律規定に基づき、商標使用ライセンス契約は登録をしなくても、契約自体の効力には影響しません。
 「中華人民共和国契約法」第44条には「法により成立した契約は、成立時より効力を生じる。ただし、法律、行政法規において、許可、登記などの手続きを行った後発効すると定める場合、その規定に従う。」と規定されています。「商標法」には、登録しなければならないと規定されていますが、登録が契約の発効の前提条件であると規定されていないため、商標使用ライセンス契約が成立時より効力を生じます。
 また、商標使用ライセンス契約の効力について、最高人民法院が2002年10月16日に公布した「商標民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」の第19条第1項には「商標使用許諾契約が登録されなくても、当事者が別途約定した場合を除き、当該許諾契約の効力に影響しないものとする。」と規定されています。
 したがって、商標局に商標使用ライセンス契約を届け出なくても、契約自体の効力に影響はありません。

(問19)商標使用ライセンス契約を商標局に登録しなかった場合、ラインセサーへの罰則又は不利益はありますか。                →目次へ戻る

(答)
 「商標法」には、商標使用ライセンス契約を登録しなかった場合の罰則は規定されていないため、登録をしなくても処罰を受けることはありません。
 ただし、商標使用ライセンス契約の登録をしなければ、下記の不利益を被る恐れがあります。
 ① 「非貿易売却・支払及び国内居住民個人外国為替収支管理操作規程」(試行)(以下「操作規程」という。)(2002年5月1日施行)によれば、ライセンシーが国外のライセンサーに商標使用料を支払う際、支払手続を行う銀行に「商標使用許可合同登録通知書」を提出しなければなりません。契約の登録をしなかった場合には、ライセンサー向けの海外送金を行うことができない恐れがあります。
 ② 実務上、登録した商標使用ライセンス契約の許諾性質、範囲、期間、ロイヤルティ額等は、商標権侵害紛争や「三年不使用」取消争議の場合の有力な証拠や参考(例えば商標の使用履歴に関する証拠、損害賠償額の認定に関する証拠・参考等)になりうるため、登録をしなければ、これらの点で不利益を被る場合があります。
 ③ 「最高人民法院による商標民事紛争案件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」第19条により、商標使用許諾契約の登録が無い場合、善意の第三者に対抗することができません。

(問20)商標出願に基づく商標使用ライセンス契約を締結することは可能ですか。
                                →目次へ戻る

(答)
 「商標法」第40条は登録商標の使用ライセンスのみに関する規定であり、未登録商標(出願中の商標も含み)の使用ライセンスは明確に規定していません。
 なお、未登録商標につき使用ライセンス契約を締結することは、関連法律法規に違反しておらず、場合によっては締結ニーズ(例えば、未登録の馳名商標や、まだ出願中であるが登録される見込みがある商標につき事前に使用許諾を得ずに使用すると、将来、侵害と訴えられるリスクがある場合もあります)があるので、中国契約法に規定された契約の成立要件(例えば契約主体が相応する民事行為能力を有し、意思表示が真実であること等)等を満たしていれば、実務で有効と認められるのが一般的です。

(問21)商標使用ライセンスにかかわるロイヤリティの一般的な計算方法としては、売上高に一定のパーセンテージ(例えば1%)を乗ずることは妥当ですか。パーセンテージ・金額に上限はありますか。              →目次へ戻る

(答)
 商標使用ライセンスにかかわるロイヤリティは原則、双方の協議により確定されます。ただし、実務の中で5%を超えた場合、税務部門から調査が入る可能性があります。
 実務上、計算方法は次のとおりであります。
 ① 製品販売価格(売上高総額を意味する)のパーセンテージに基づく計算、通常1%-5%
 ② 製品の利潤率(販売価格より原価(コスト)を引いた後の利益のこと)に基づく計算
 ③ 双方の協議により確定した一定の金額に基づく計算
 また、商標の知名度、商標の使用許諾方法、商標の許諾期間、地域、商品範囲などの要素はロイヤリティに影響する可能性があります。

(問22)商標使用ライセンス契約の種類が「通常ライセンス」となる場合、ライセンシーは、商標権侵害行為に対して、自ら訴訟を提起することができますか。
                                →目次へ戻る

(答)
 「通常ライセンス」とは、商標権者が、約定された期間、地域及び約定された方法により、ライセンシーに当該登録商標の使用を許諾(ライセンス)し、商標権者自身も当該登録商標を使用することができ、かつ、当該登録商標をその他の第三者に使用許諾(ライセンス)することもできるライセンスを言います。
 最高人民法院による「商標民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」(2002年10月16日より実行)第4条第2項には「登録商標権が侵害された場合、独占的使用許諾契約の被許諾者は人民法院に訴訟を提起することができ、排他的使用許諾契約の被許諾者は商標登録者と共同で訴訟を提起することができ、かつ商標権者が訴訟を提起しない場合、自ら訴訟を提起することもできる。通常使用許諾契約の被許諾者は商標権者からの明確な授権を得た場合に訴訟を提起することができる。」と規定されているので、通常ライセンスのライセンシーは、商標権者からの明確な授権を得た場合に訴訟を提起することができます。

◆ 商標出願

(問23)WTO加盟後の中国においては、ワイン・スピリッツの名称から構成される商標登録出願は、誤認混同の有無に関わらず商標登録できないはずですが、その根拠規定は何ですか。                       →目次へ戻る

(答)
 TRIPS協定第23条では、葡萄酒(ワイン)と蒸留酒(スピリッツ)について、誤認混同の有無を問わず地理的表示に強力な法的保護を与えることを想定しています。中国はWTOに加盟しているため、TRIPS協定の関連規定を遵守しなければならなりません。
 また、1989年中国国家工商局が「酒類商品について香槟(訳注:シャンペンの漢字表記)又は Champagheという文字の使用を停止することに関する通知」を公布して、中国の企業のなかに香槟又はChampagheを酒の名称として使用する行為が他人の原産地名称権を侵害する行為であると明確しています。
 上記に鑑み、中国においては、ワイン・スピリッツの名称から構成される商標は登録出願ができず、かつ使用もできません。

(問24)簡体字による商標と繁体字による商標を一つの出願で出願することは可能ですか。また、簡体字による商標権を有している場合、同一区分において、繁体字による商標出願があった場合、後願の繁体字による商標出願は拒絶されますか。逆も同様ですか。簡体字による商標権がある場合、同一区分に該当する製品において、繁体字による商標を使用した場合、商標権侵害となりますか。逆も同様ですか。
                                →目次へ戻る

(答)
 中国で商標を出願する際、一つの出願で1件の商標しか出願できません。簡体字による商標と繁体字による商標は2件の商標と認められるので、一つの出願で出願することはできません。
 「商標法」第8条では、「自然人、法人又はその他の組織の商品を他人の商品と区別することができるいかなる視覚的標章(文字、図形、アルファベット、数字、立体的形状及び色彩の組合せ、並びにこれらの要素の組合せを含む)は、全て商標として登録出願することができる。」と規定され、また、第28条では「登録出願にかかる商標が、この法律の関係規定を満たさない、又は他人の同一の商品又は類似の商品について既に登録され又は初歩審定を受けた商標と同一又は類似するときは、商標局は出願を拒絶し公告しない。」と規定されています。簡体字の登録商標がすでに存在している区分において、他者が繁体字の商標登録を申請する場合、当該簡体字商標と繁体字商標の字形の変化がほとんどない場合には、原則、微小の変更と判断されます。したがって、両者は類似と判断され、他者の申請は拒絶されることになります。逆の場合も同様です。
 また、「商標法」第52条には「次の各号に掲げる行為の一つがある場合、商標権侵害に該当する。(一)商標権者の許諾なしに、同一商品又は類似商品にその登録商標と同一又は類似する商標を使用した場合。」と規定されています。簡体字の登録商標が存在し、かつ、その対応する繁体字商標と当該簡体字登録商標の字形の変化がほとんどない場合には、原則、微少の変更と判断されます。したがって、他者が同一又は類似する商品に繁体字商標を使用する行為は商標権侵害を構成します。逆も同様です。

(問25)中国において、繁体字での商標登録があるが、実際には簡体字の商標を使用し、当該簡体字の商標に「」を付していた場合、商標法44条に規定する「登録商標を許可なく変更したとき」に該当しますか。あるいは商標法48条に規定する「登録商標と偽っているとき」に該当しますか。また、これにより何らかの罰則が課される事がありますか。                       →目次へ戻る

(答)
 中国において登録商標は繁体字であるが、実際にはこれに対応する簡体字の商標を使用し、当該簡体字の商標に「」を付していた場合、当該簡体字商標と繁体字商標を比べても字形の変化がほとんどない場合には、微小の変更と判断され、商標法44条第1号に規定する「登録商標を許可なく変更したとき」に該当します。ただし、実際の使用中の簡体字と登録商標の繁体字を比較して視覚上、非常に大きな変更があり、一つの新たな商標を構成するに足りる場合、商標法第48条に定める「登録商標と偽っているとき」に該当します。従いまして、情況によって、具体的に分析する必要があり、一概に論ずることはできません。
 法律上では上述の記規定があるものの、実務上、登録商標が繁体字で簡体字を使用して商標局から処罰を受けた事例は見つかりませんでした。

(問26)中国商標法において、「地名」に関する商標を拒絶する根拠規定を教えていただけますか。                       →目次へ戻る

(答)
 中国「商標法」において、「地名」に関する商標を拒絶する根拠規定は「商標法」第10条第1項(8)、第10条第2項、第16条、第41条第1項、第2項及び「中国商標審査基準」の第一部分11条「地名を含む商標の審査」が含まれています。
 いわゆる地理的表示とは、「TRIPS協定」第22条第1項の規定によれば、ある商品に関し、その確立した品質、社会的評価その他の特性が当該商品の地理的原産地に主として帰せられる場合において、当該商品が加盟国の領域又はその領域内の地域若しくは地方を原産地とするものであることを特定する表示を言います。地理的条件、人文的要素が異なり、同類商品でも異なる地区を産地とすることにより、品質と信用が異なることを意味します。例えば、「金華」(中国の都市名称)産のハムは、その他の地域のハムとは品質が異なっています。同様にお茶も、「杭州西湖」(中国の有名な観光名所の地名)の龍井茶は西湖龍井の美名を享有します。上述の「金華」、「西湖」が即ち、地理的表示です。地理的表示が商品の出所を示す表示であって、商品識別機能を具備し、商品の品質及び信用と密接な関係があることに鑑み、「TRIPS協定」は、これを知的財産権保護の対象の一つに位置付けています。そして、中国商標法は、「TRIPS」協定に基づき上記の規定を設けています。
 ただし、当該条項は、同時に、地理的表示を含む商標の善意取得の有効性も規定しています。地理的表示を含む商標登録後、使用を経て、消費者において特定の意味を持つに至り、消費者が商品の出所に対して誤認するおそれがない場合(例:青島ビール等)は、当該商標は引き続き有効です。

(問27)中国商標法第41条第1項の取消事由の判断時点は、原則として登録時ですか。例外はありますか。                    →目次へ戻る

(答)
 原則的に、中国商標法第41条第1項に基づく登録商標の取消は、当該商標の登録時の客観的状況を判断基準とします。ただし、特殊な状況下においては、例外もあります。たとえば、2001年1月21に登録した「优盘」商標の事件がその例外に属します。商標「优盘」(訳注:コンピュータのUSBメモリ)の登録時には、コンピュータ業界においてこのような概念及び名称は未だ存在せず、商標の顕著性を具備し、登録が認められましたが、商標の使用に伴い、商品の通用名称になるに至り、その商標の顕著性は徐々に希釈化したため、商標評審委員会は、2004年10月13日に、「中華人民共和国商標法」第11条第1項第1号及び第3号の規定に基づき、当該商標を取り消しました。その後の行政訴訟において、法院は、「法定手続違反」を理由に商標評審委員会の裁定を取り消しましたが、商標評審委員会が係争商標を取り消した実体裁定について、否定しませんでした。(つまり、法院は商標評審委員会が商標登録後の状況変化を判断基準としたことに対して、否定もしなかったということです。)従いまして、この事例から、特定の状況下においては、商標局又は商標評審委員会が商標を取り消す際に、商標登録時の客観的状況の他、商標登録後の状況変化により生じた実際の影響を総合的に考慮し、係争商標を取り消すか否か総合的に判断されることになります。

(問28)中国商標制度では「人物名」の商標を登録できますか。「人物名」が、中国及び中国以外の国における「歴史上の人物名」であった場合には商標登録できますか。                             →目次へ戻る

(答)
 「商標法」及び「商標法実施条例」には人物名(歴史上の人物名を含む)を商標登録することを禁止するとの規定が設けられていません。「商標審査及び審理標準」(2005年12月31日より実施)第10条第1項(二)には「国家、地区又は政治性国際組織リーダーの氏名又はテロリズム組織、邪教組織、反社会的集団の名称又はそのリーダーの氏名と同一又は類似の標章は商標として使用してはならない」と規定されています。当条規定に基づき、出願人が政治的影響力を有する著名人の氏名又はテロリズム組織、邪教組織、反社会的集団のリーダーの氏名を商標登録出願すれば、実体審査の段階において、商標局は悪影響を生じる恐れがあることを理由として、その登録を拒絶します。
 したがって、通常、他人の先行権利を侵害しない限り、人物名(政治的影響力を有する著名人の氏名又はテロリズム組織、邪教組織、反社会的集団のリーダーの氏名を除く)を商標として、登録することは可能です。先行権利者は、その商標登録が自らの権利を侵害したと認める場合、商標異議又は商標取消の申立を通じて、自らの合法的権益を保護することができます。

(問29)日本における一般名称が中国において商標権登録されている場合、中国から日本へ輸出する貨物において、その一般名称を普通に表示した場合、商標権侵害となりますか。日本における一般名称であることを理由に、中国商標法第11条に基づいて、係る登録商標を取り消すことは可能ですか。また、中国商標法第11条における「一般的に用いられる名称」には、外国における一般名称が含まれますか。
                                →目次へ戻る

(答)
 「商標法実施条例」第49条には「登録商標にその商品の一般名称、図形、規格とサイズ、又は直接的に商品の品質、主要原材料、機能、用途、重量、数量、及びその他の特徴を表示する、又は地名を含む場合、商標登録者は他人の正当な使用を禁止することができない。」と規定されています。従いまして、上記の一般名称の使用が正当な使用に当たり、権利侵害には該当しないと解することは可能です。ただし、実務上、税関は添付の商標届出に基づきその貨物を差し押さえ、説明を求めることが予測され、非常に多くの時間を費やすこととなる恐れがあります。
 商標法第11条に基づき、一般名称は商標として登録することができないので、当該商標の取消を請求することができます。また、商標局の「商標審査基準」に記載された商品の通用名称の使用に関する例示によれば、商標「MULLER」の指定商品に研磨機という例が挙げられており、MULLERの中国語の意味は「研磨機」です。この例からも分かるように、外国語の通用名称も同様に登録商標とすることができないと考えられます。

(問30)パリ条約6条の3によれば、同盟国の紋章、同盟国が採用する監督用・証明用の公の記号・印章等の模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし(商標登録からの排除)、また、権限のある官庁の許可を受けずにこれらを商標又はその構成部分として使用すること(商標使用の禁止)を、適当な方法によって禁止する、と定めていますが、中国において、パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標登録出願があった場合に、これを拒絶する根拠となる法令及び条文は何ですか。パリ条約6条の3に該当する商標登録がなされた場合に、これを無効する根拠となる法令及び条文は何ですか。           →目次へ戻る

(答)
 中国において、盟国の紋章、同盟国が採用する監督用・証明用の公の記号・印章等の模倣と認められるものの商標について、下記の規定があります。
 「商標法」第10条 
 次に掲げる標章は、商標として使用してはならない。
 (2)外国の国名、国旗、国章、軍旗と同一又は類似したもの。ただし当該国政府の承諾を得ている場合はこの限りではない。
 (3)各国政府よりなる国際組織の名称、旗、徽章と同一又は類似するもの、ただし同組織の承諾を得ているもの、又は公衆に誤認を生じさせない場合はこの限りではない。
 (4)管理の実施、保証の付与が明示された政府の標章、又は検査印と同一又は類似したもの。ただし、授権されている場合はこの限りではない。
 「商標法」第41条 
 登録された商標が本法第10条、第11条、第12条の規定に違反している場合、又は欺瞞的な手段又はその他の不正な手段で登録を取得した場合、商標局はその登録商標を取消す。その他の単位又は個人は、商標評審委員会にその登録商標の取消についての裁定を請求することができる。
 上記の規定基づき、中国において、パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標については、登録出願があった場合に、拒絶し、また、登録がなされた場合に、取り消すこととなります。

(問31)中国において、パリ条約6条の3にもとづく国際事務局からの通知内容を明らかにするために、何らかの手段が講じられているのですか。仮に講じられている場合には、その方法如何ですか。                 →目次へ戻る

(答)
 中国法において、現在、国際事務局からの通知を受けた後に、これを公示することに関する規定は存在していません。また、実務上でも、中国の商標局はその通知内容を公示していません。

(問32)パリ条約6条の3に該当する商標登録出願があった場合に、その出願人が当該紋章等を定める国・政府自身の場合、当該商標登録出願はどのように取り扱われるのですか。                          →目次へ戻る

(答)
 「商標法」第10条第1項の(2)(3)(4)号には、パリ条約6条の3に該当する商標登録について、「当該国政府」「当該組織」の同意又は「許諾を得ている」場合はこの限りでない旨の規定が含まれていることから見れば、当該国政府、当該組織等は自己の名義で登録を行うことができます。

(問33)中国において、パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標としての使用があった場合に、この使用を禁止する根拠となる法令及び条文は何ですか。どのような救済・制裁の手段が用意されていますか(違反者に対する刑事罰・行政処分、違反者に対する外国政府による民事訴訟など、根拠となる条文を含めて)。
                                →目次へ戻る

(答) 
 中国において、パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標としての使用があった場合に、「商標法」第48条が適用されます。この規定に基づき、地方工商行政管理部門はこの使用を差止め、期間を定めて是正させ、且つ警告又は過料に処すことができます。処罰基準は、「商標法実施条例」第42条に規定されている「……その過料額は不法所得の20%以下又は不法利益の2倍以下とする。」によります。
 刑事処罰については、該当する罪名がないため、追及することができません。民事訴訟提起の状況については、「中華人民共和国民事訴訟法」第3条の規定である「人民法院は公民間、法人間、その他の組織間及び相互間の財産関係及び人身について提起された民事訴訟を受理し、本法の規定を適用する」により、外国政府は中国の民事訴訟法が定める民事訴訟の法的主体ではないので、中国で民事訴訟を提起することができません。
 従いまして、パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標としての使用行為に対して、「商標法」第48条の規定に基づき行政処罰を行うことができるに過ぎません。

(問34)パリ条約6条の3に該当する外国の紋章等の商標としての使用があった場合に、その使用の可否を判断するに当たり、「当該権限のある(外国の)官庁」について、中国において、法令ではどのように解されていますか。    →目次へ戻る

(答)
 パリ条約第6条の3 (1) (a)の「当該権限のある官庁」について、中国商標法では商標法第10条に反映されています。
 (2)外国の国名、国旗、国章、軍旗と同一又は類似したもの。ただし当該国政府の承諾を得ている場合はこの限りではない。
 (3)各国政府よりなる国際組織の名称、旗、徽章と同一又は類似するもの、ただし同組織の承諾を得ているもの、又は公衆に誤認を生じさせない場合はこの限りではない。
 (4)管理の実施、保証の付与が明示された政府の標章、又は検査印と同一又は類似したもの。ただし、授権されている場合はこの限りではない。
 以上の規定における「当該国政府」「当該組織」「許諾を得ている者」が中国法における「当該権限のある官庁」です。

(問35)中国において紋章等の保護を図る場合、パリ条約6条の3による通知を通じた保護と、各諸外国において商標登録した場合の保護を比較し、どちらがよりメリットがありますか。                       →目次へ戻る

(答)
 両者の保護強度から見て、商標登録後の標章の保護強度の方が強い。他方、手続上から見ると、パリ条約に基づき関係標章が保護を受ける場合の方が、登録商標に比べて簡単です。

(問36)紋章等の保護について、パリ条約6条の3による通告が少ない理由について特段の理由がありますか。                   →目次へ戻る

(答)
 パリ条約に基づく通告の手続が煩雑すぎ、且つ各国の国内法がすでに全面的な規定を行っている状況下では、パリ条約に基づき保護しなければならない標章が少ないことが理由であると考えられます。

(問37)中国における商標出願にかかる費用はどの程度ですか。 →目次へ戻る

(答)

 商標事項  政府費用(CNY)  代理費用(USD)
 商標登録    
出願から順調に登録されるまで (1区分に おける商標1件):
① 出願書類の準備、提出;
② 優先権主張 (優先権ある場合);
③ 出願日から3ヶ月以内に優先権書類を提出 (提出する場合);
④ 拒絶査定に関する弊所のコメントを報告、拒絶査定に応答 (拒絶査定がある場合);
⑤ 商標登録の公告を報告;
⑥ 登録証明書を翻訳、転送.

1000 (商品/役務が10以下(10を含む)である場合の費用)
100 (10を超えた1つずつの商品/役務に対する費用)

 

500

(代理事務所によって、代理費用が異なる。)
 
 登録商標の更新    
 更新出願
2000

300

(代理事務所によって、代理費用が異なる。)

  商標登録による保護を受けるためにかかる諸費用としては、その他に弁護士費用があります。弁護士費用はタイムチャージが一般的です。

(問38)日本国の地方行政機関(例えば、●●県、●●市)は、中国における商標登録出願人となることは可能ですか。              →目次へ戻る

(答)
 中国商標法第4条に「自然人、法人又はその他の組織が、その生産、製造、加工、選定又は販売する商品について商標専用権を取得する必要がある場合には、商標局に商品の商標登録を出願しなければならない。自然人、法人又はその他の組織がその提供する役務について商標専用権を取得する必要がある場合には、商標局に商品の商標登録を出願しなければならない。」と規定しています。
 上述の規定によれば、中国において出願することができる商品商標及び役務商標の主体は3つに分類されます。
 ① 自然人
 ② 法人
 ③ その他の組織
 中国の法律によれば、法人には政府機関法人が含まれ、日本の地方行政機関はその性質から分析すると政府機関法人に該当します。従いまして、中国「商標法」第4条の規定に基づき、主体資格から判断すると、日本国の地方行政機関は商品商標及び役務商標を出願可能な3つの主体の一つであります。
 そのほか、中国「商標法」第4条はさらに上述の3つの主体による商標出願時の前提条件として「その生産、製造、加工、選定又は販売する商品について商標専用権を取得する必要がある場合、又はその提供する役務について商標専用権を取得する必要がある場合、商標局に商品の商標登録を出願しなければならない。」と規定していますが、実務においては商標権者が登録商標を自己の生産、製造、加工、選定もしくは販売する商品又はその提供する役務に用いる場合のほか、商標権者が他人にその登録商標の使用を許諾する場合が存在しています。現在、冒認出願を防止するために、中国人の個人が商標を出願する際、「個体工商戸営業執照」の提供が要求され、且つ、指定の商品区分が営業範囲を超えてはいけないと規定されていますが、中国人の個人以外の商標出願人(外国人・外国法人を含む)が、商品を生産、製造、加工、選定又は販売しているか否か、商標出願人自身が、役務を提供しているか否かは商標出願の必要前提条件とはなりません。
 外国の行政機関が機関法人として中国「商標法」に定める適法な主体の一つに該当し、商標出願人として商標出願を行う場合、中国商標局はその主体資格に対して同様に特殊な制限を設けておらず、商標出願人自身が、商品を生産、製造、加工、選定又は販売しているか否か、商標出願人自身が、役務を提供しているか否かに対して審査を行うことはなく、また、商標出願人自身が、商品を生産、製造、加工、選定又は販売していない、商標出願人自身が、役務を提供していないことを理由にその商標出願を拒絶しません。従いまして、外国の行政機関が中国商標法の規定に基づき、商品商標及び役務商標の登録出願を行い且つそのほか法律に違反する事由が存在しなければ、中国商標局は受理しなければなりません。
 そのほか、中国商標法は団体商標及び証明商標について規定しています。中国「商標法」第3条は「この法律にいう団体商標とは、団体、協会又はその他の組織の名義で登録され、当該組織の構成員が商業活動の使用に供し、これを使用する者が当該組織の構成員資格を表示する標章のことをいう。この法律にいう証明商標とは、監督能力を有する組織の管理下にある特定の商品又は役務に対して使用するものであって、且つ当該組織以外の事業単位又は個人がその商品又は役務について使用し、同商品又は役務の原産地、原材料、製造方法、品質又はその他の特別な品質を証明するために用いる標章をいう。」と規定しています。 この規定によれば、団体商標及び証明商標の出願人の主体資格には特殊な制限があり、即ち「団体、協会又はその他の組織」のみが含まれ、法人は含まれません。従いまして、日本国の地方行政機関は、行政機関法人として中国において団体商標及び証明商標の出願人の主体資格を有さないと考えられます。

オリンピック標章

(問39)中国で開催する展示会において、「オリンピック((奥运会)」といった名称を用いたコンテスト(competition)を行うことは商標法その他関連法規からみて問題はありますか。或いは、使用に当たって政府当局の許可を必要としますか。
                                →目次へ戻る

(答)
 「オリンピック標章保護条例」(2002年4月1日より実行)に基づき、「オリンピック(奥运会)」はオリンピック競技大会の略称であり、保護を受ける標章であるため、他人は商業目的により使用することはできません。この商業使用目的の使用には、商品及びその他の商業活動(例えば、展示会の開催はその他の商業活動に含まれる)に用いることが含まれます。
 従いまして、中国で開催する展示会において、「オリンピック(奥运会)」の名称を使用したい場合、「オリンピック標章保護条例」第8条の規定に基づき、国際オリンピック委員会及び国際オリンピック委員会が授権又は許可した機構と契約を締結しなければならなりません。

刑法第214条及び刑事案件の立件訴追基準

(問40)刑法214条に規定されている登録商標を冒用行為(中国語では、「假冒注册商標」)とはどのような行為を指していますか。213条に規定されている、「登録商標の所有者の許諾を経ないで同一種類の商品にその登録商標と同一の商標を使用する行為」と異なるのですか。                   →目次へ戻る

(答)
 「最高人民法院による「中華人民共和国刑法」確定罪名の執行に関する規定」により、「刑法」213条に規定されている「登録商標の所有者の許諾を得ないで同一種類の商品にその登録商標と同一の商標を使用する行為」の罪名は「假冒注册商標罪」です。「刑法」214条に規定されている「登録商標を冒用した商品であることを明らかに知りながらこれを販売し、……」における「登録商標の冒用行為(中国語では、「假冒注册商標」)」とは、第213条に規定されている「假冒注册商標」の行為と同じで、「登録商標の所有者の許諾を得ないで同一種類の商品にその登録商標と同一の商標を使用する行為」を指します。

(問41)「最高人民検察院、公安部による公安機関の管轄する刑事案件の立件訴追基準に関する規定(2010年5月7日公布)」(以下は「当該規定」という。)の第71条(二)に「2種類以上の他人の登録商標標識を1万点以上偽造、無断製造若しくは偽造、無断製造した登録商標標識を販売し、又は不法経営金額が3万元以上、又は違法所得金額が2万元以上である場合。」の「2種類以上の他人の登録商標...」とは「2種類以上の他人」となりますか、それとも「2種類以上の登録商標」となりますか。
                                →目次へ戻る

(答)
 「最高人民検察院、公安部による公安機関の管轄する刑事案件の立件訴追基準に関する規定」第71条(二)の中国語の原文の意味は「2種類以上の登録商標標識を1万点以上...」であり、「2種類以上の他人」ではありません。「2種類」は「登録商標標識」を限定しています。
 また、当該規定の第72条(三)に規定されている「2種類以上の他人の特許を詐称し、不法経営金額が10万元以上又は違法所得金額が5万元以上である場合」についても、中国語の原文では「2件以上の他人の特許を詐称し」となっており、「件」は特許の量詞であり、「2件以上」は「特許」を限定しています。この法律のロジックに基づき、商標の部分も同様に理解できます。

行政訴訟における新証拠

(問42)商標評審委員会などの行政機関を被告として、提起した行政訴訟で、中級人民法院は当該新たな証拠を受理し、原告提出の証拠として採用しなければならないですか。あるいは、採用するかしないかは中級人民法院の裁判官の裁量になりますか。                              →目次へ戻る

(答)
 「最高人民法院による行政訴訟証拠における若干問題に関する規定」(以下「規定」という)第6条によれば、行政機関に対して提起した行政訴訟において、原告は具体的な行政行為の違法性について証拠を提出することができます。上述の「規定」にいう証拠とは「具体的な行政行為が違法であることの証明」であり、例えば、商標評審委員会が行った行政行為の手続違反を証明する証拠、又は商標評審委員会の事実認定又は法律の適用に誤りがあった証拠等ですが、上述の証拠には原告の「行政手続中に提出すべきであった未提出の証拠」は含まれません。
 また、「規定」第59条には「被告が行政手続において法定手続に基づき原告に証拠の提出を要求し、原告が法に基づき提供すべきところ拒絶して提供せず、訴訟手続において提供した証拠について、人民法院は一般的にこれを採用しない。」と規定されているので、原告が行政訴訟中に提出した証拠が「行政手続中に提出すべきであった未提出の証拠」である場合、法院は当該証拠を一般的な状況において採用しません。当該規定の根拠は次のとおりです。
 行政手続において、商標評審委員会などの行政機関は、原告に相応の証拠を提出し自己の主張を証明するよう要求し、この段階で原告は提出できる証拠をすべて提出し、商標評審委員会などの行政機関は原告が提出した証拠に基づき事実認定を行い、且つ法律に基づき行政裁定を下します。行政段階で原告が当該証拠を提出すべきところ(ここでは、すでに発生した、原告が提供することができる証拠をいう)、自己の理由により提出せず、商標評審委員会などの行政機関が裁定を下したのであれば、原告はこのような行政裁定の結果を受け入れなければなりません。最高人民法院によるこの規定の目的は、行政管理の相手方が挙証権利を濫用することを防止し、自己の行政手続における挙証義務を回避することにあります。

三、著作権について

(問43)中国国内の会社が、日本の会社に著作権ライセンス料を海外送金する際、どのような資料を提出するべきですか?             →目次へ戻る

(答)
 「非貿易外国為替売却支払及び国内居住民個人外国為替収支管理操作規程」に基づき、著作権ライセンス料は、海外送金時、以下の資料を提出することが必要になります。
 ① 書面による申請書
 ② 著作権ライセンス契約書
 ③ 領収書又は支払通知書
 ④ 著作権主務官庁の「著作権契約登記章」が押印された著作権ライセンス契約又は契約登記の回答書
 ⑤ 税務証憑

(問44)海外のコンテンツを中国に流通させる際に注意すべき規制において、コンテンツ種類別に、どのような総量規制や、放送・配信時間の規制がありますか(TV番組、映画、アニメ、コミック等のジャンル別の規制、TV番組の中でもドラマや映画等による規制がありますか)。                  →目次へ戻る

(答)
 コンテンツ種類別に総量規制や放送・配信時間の規制があります。具体的には下記の表をご参照ください。

コンテンツ
種類
総量規制 放送・配信時間
の規制
法規 公布
機関
公布時間
海外映画、テレビドラマ 当該チャンネルの当日の映画、テレビドラマの総放映時間の25%を超えてはならない 広電総局の許可を得ていない場合、19:00-22:00間は放映してはならない  「海外テレビ番組の導入、放映管理規定」 国家広電総局 2004年10月23日
映画、テレビドラマ以外の海外テレビ番組 当該チャンネルの当日総放映時間の15%を超えてはならない。    「海外テレビ番組の導入、放映管理規定」 国家広電総局 2004年10月23日
海外アニメ、海外アニメ情報番組、海外アニメの展示 アニメチャンネル、幼児用チャンネル、青少年用チャンネル、児童用チャンネルおよびその他未成年を対象にしたチャンネルで、国産アニメの放映が一日当たり輸入アニメの放映に比べて7:3以上でなければならない。 各テレビ局は毎日17:00-21:00間は放映禁止 「広電総局のテレビアニメ放映の制御及び管理監督業務強化に関する通知」 国家広電総局 2006年8年9日
「広電総局のテレビアニメ放映管理強化に関する通知」 国家広電総局 2008年2月14日
人形、木製人形を使ったアニメ   各テレビ局は毎日17:00-21:00間は放映禁止 「広電総局のテレビアニメ放映管理強化に関する通知」 国家広電総局 2008年2月14日

 

(問45)予め制御用ソフトウェアをインストールした機器を販売した場合、そのソフトウェアに関る著作権に関しては、使用許諾を購入者と締結したと見なされるのですか、若しくは著作権自体を譲渡したとみなされるのですか。購入者はそのソフトウェアを抽出・コピーし、名称を変更して販売する場合、著作権の侵害になり得ますか。                              →目次へ戻る

(答)
 販売契約書に本件著作権の使用許諾や譲渡の特約がない限り、購入者は、予め制御用ソフトウェアをインストールした機器を購入することによって、当該ソフトウェアの複製品を合法的に購入したにすぎず、購入行為自体は、著作権の使用許諾または譲渡の関係を構成することはありません。
また、購入者は上記ソフトウェアの複製品を合法的に入手した場合、コンピュータソフトウエア保護条例の第16条に基づいて以下の権利しか有しません。

 ① 使用の必要に応じて、当該ソフトウエアをコンピュータなど情報処理能力を有する装置にインストールすること
 ② 複製品の破損に備えて、予備用に複製品を製作すること
 これらの予備用複製品はいかなる方法によっても他人の使用に供してはならず、所有者が当該複製品の合法的所有権を喪失した場合、当該予備用複製品を破棄する責任を負うこと
 ③ 当該ソフトウエアを実際のコンピュータの応用環境に用いるため、またはその効能、性能を改良するために、必要な修正を行うこと
 ただし契約に別途約定がある場合を除き、当該ソフトウエアの著作権者の許諾を得ずに、いかなる第三者にも修正後のソフトウエアを提供してはならないこと

 そこで、購入者はそのソフトウェアを抽出・コピーし、名称を変更して販売する場合、少なくとも「著作権法」第10条、「コンピュータソフトウエア保護条例」第8条における著作権者の改変権、複製権、発行権の権利の侵害になります。

(問46)コンピュータ用のフォントライブラリは、著作権による保護を受けられますか。また、合法的に購入した著作権登録のあるフォントライブラリを商用に使用し、例えばそのライブラリにおけるフォントを使って製品の包装や宣伝語を作る場合、当該ライブラリの著作権者から著作権侵害を理由として訴えられる場合がありますか。                           →目次へ戻る

(答)
 まず、特別の設計があるフォントライブラリは、著作権の保護対象になる場合があります。例えば以下の事件がありました。
 2004年の年末、北京市第一中級人民法院は、北京北大方正電子有限公司が濰坊文星科技開発有限公司、北京南宸電子技術有限公司による美術著作物の著作権侵害及びコンピュータソフトウェア著作権侵害を訴えた事件に対して、第一審判決を下しました。人民法院は、「方正公司は大量の知的活動を投入し、方正蘭亭V4.0コンピュータフォントライブラリを創作完成させ、その知的労働成果は法的保護を受ける。当該フォントライブラリに含まれるフォントは、方正公司が独自に創作完成した文字のデジタル化表現形式であり、線から構成される審美感的意義を有する平面造形芸術作品であり、中国著作権法が定める美術著作物に該当し、中国著作権法の保護を受ける。また、各文字の座標データとコマンドから構成されるフォントライブラリもコンピュータにより実施することができ、中国の「コンピュータソフトウェア保護条例」に定めるコンピュータソフトウェアに該当し、当該条例の保護を受ける。文星公司が方正の許諾を得ず、複製、発行した文星2000V3.1は、方正蘭亭V4.0に含まれる上述12のフォントライブラリのフォントを複製しただけでなく、12のフォントライブラリのデータ座標及びコマンドプログラムが使用されており、その行為は、方正公司の美術著作物の著作権及びコンピュータソフトウェア著作権侵害に該当するため、これに対応する法的責任を負わなければならない。」という理由で、コンピュータフォントライブラリは著作権法及びコンピュータソフトウェア保護条例の保護を受けることを認定し、且つ法に基づき被告に対し、「文星2000字処理系統V3.1」ソフトウェアの複製、発行の侵害行為の停止、経済損失30万元の賠償、謝罪広告の掲載を命じました。この判決は第二審でも認められました。
 次に、合法的に購入した著作権登録のあるフォントライブラリを商用に使用し、例えばそのライブラリにおけるフォントを使って製品の包装や宣伝語を作ることによって、当該ライブラリの著作権者から著作権侵害を理由として訴えられた事件もあります。
 北京北大方正電子有限公司(以下「方正公司」という)が、広州宝潔公司(P&Gの中国における投資会社で、以下「宝潔公司」という)が製品に使ったフォントが方正公司の著作権登録をしたフォントライブラリの著作権を侵害した理由で、宝潔公司を訴えた事件に対し、2010年12月20日に、北京市海淀区人民法院は、「このようなフォントライブラリ作品に関して、他人がフォントライブラリ全体を複製・使用し、特にソフトウェアの複製またはインストールと結びつける使用行為を侵害と認めることはできるが、その中のフォント個々に独創性を認定し、著作権の保護を与えることは根拠が不十分である。・・・方正公司のフォントライブラリはある程度の独創性があり、著作権法に規定の美術作品に関する条件を満たしているため、その全体として保護を受けることができるが、ライブラリにおけるフォント単体が美術作品として保護を受けることができない。」と第一審の判決を下しました。本件事件は上訴されており、これから引き続き注目する必要があると思います。
 また、上記事件と類似する事件として、方正公司は、2007年に、米国Blizzard社が開発したネットゲーム「魔獣世界」の中に、方正公司の許諾を得ていないにもかかわらず、方正公司のフォントライブラリにおける方正北魏楷書体、方正剪紙体、方正隸変体、方正細黒一体等の5種類のフォントが大量に複製、使用されていたことを理由に、著作権侵害として北京市高級人民法院に提訴し、1億元の賠償を請求しました。当該事件もまだ審理中です。

(問47)行政機関のなかには、無断で、現地新聞の記事(当局自らの案件が取り上げられている記事)を転載しているケースがあるようです。行政機関ウェブサイトなどに掲載されているニュースをニューズレター等へ転載することについて許可は得ているものの、上記の無断転載記事を、ニューズレターに転載することは著作権上問題がありますか。                        →目次へ戻る

(答)
 「著作権法」は以下のとおり規定されています。
  第5条 本法は次に掲げるものに適用されない。  

 ① 法律、法規及び国家機関の決議、決定、命令、その他立法、行政、司法的性質を有する文書、ならびにそれら公文書の正式訳文
 ② 時事ニュース
 ③ 暦法、汎用的数法、汎用的表及び公式

 また、「著作権法実施条例」第5条には「時事ニュースとは、新聞、雑誌、ラジオ、テレビ等のメディアを通じて報道される単なる事実のニュースをいう。」と規定され、「最高人民法院の著作権民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈」第16条には「……他人が取材した時事ニュースを伝播、放送する場合は、その報道ソースを明記しなければならない。」と規定されています。
 上記の規定に基づき、その現地新聞の記事は「時事ニュース」に属する場合、著作権法の保護を受けないため、ニューズレターに転載することは著作権上問題がありません。ただし、転載する際、そのニュースの出所を明記しなければなりません。

四、 ドメイン名の登録について

(問48)中国における「.CN」ドメイン名は外国企業が申請できますか?
                                →目次へ戻る

(答)
 中国では、外国企業が「.CN」ドメイン名を申請することを禁止する法律規定はありません。しかし、実務上は、中国インターネット情報センターは外国企業の申請を受理していません。そのため、外国企業は子会社である中国現地法人を通じて、「.CN」ドメイン名を申請します。

五、模倣品業者に対する民事訴訟について

(問49)日本の会社が中国国内において模倣品業者に対して民事訴訟(損害賠償請求)を提起し、結果として賠償金が得られた場合、その賠償金を日本の会社に送金する事は可能ですか?可能である場合、手続きはどのように行なうのですか?
                                →目次へ戻る

(答)
 賠償金を海外送金する場合に生じる主な問題は、中国の外貨為替制度です。中国の外国為替制度に合致してさえいれば、所在地が日本の原告に送金することができます。
 「国家外国為替管理局が公布した『非貿易売却・支払い及び国内居住民個人の外国為替収支管理操作規程』(試行)に関する通知」第45号により、外貨購入の主体は一般的に国際賠償における賠償者であると規定しています。弁護士事務所が外貨購入を代理する場合、賠償者の授権委託書を提供しなければならなりません。法院の強制執行後、人民元を回収する場合、法院が外貨を購入し、直接、受益者に送金することができます。
 当該条項によれば、
 ① 賠償者(即ち被告)が外貨購入を行い、その後、直接、受益者(即ち原告)に送金することができます。海外送金時、賠償者が書面申請及び確定した判決書、または、裁定書を提出しなければなりません。賠償者が法律事務所に委託する場合には授権委託書も必要になります。
 ② 人民法院の強制執行において人民元を回収した際は、法院が外貨を購入し直接、受益者(即ち原告)に送金することができます。
 ただし、実務上、多くの法院は外貨購入に協力せず、原告に対して中国国内の関連会社を探すか又は法律事務所を委託するよう要請し、関連会社又は法律事務所への送金を以て賠償金の支払いが終了したものとみなします。

六、 商用暗号について

(問50)中国における外商投資企業との商業上のやり取りをする際に、国外の暗号製品を使用しようとする場合、法律上の規制はありますか。あれば、使用のための手続きは何ですか。                       →目次へ戻る

(答)
 国外における暗号製品を中国で使用する場合、中国の「商用暗号管理条例」(以下は「管理条例」という)や「商用暗号製品使用管理規定」(以下は「管理規定」という)における規制を受けなければなりません。具体的に言うと、「商用暗号管理条例」の第14条によって、中国国内で暗号製品を使用しようとする場合、国家暗号管理機構により認可された商用暗号製品しか使うことはできず、自ら開発したまたは国外で生産された暗号製品を使用してはなりません。例外として、暗号製品の使用企業は中国における外商投資企業であり、かつ業務上の必要性により、国外において生産された暗号製品を使用して国外と相互接続を行わなければならない場合には、国家暗号管理局の認可を経て、国外において生産された暗号製品を使用することができます(「商用暗号製品使用管理規定」第9条)。ただし、この場合、外商投資企業は、上記国外の暗号製品の使用について国家暗号管理機構より許可を取得しておかなければなりません。
 許可取得のための手続きに関しては、「商用暗号製品使用管理規定」第9条によれば、外商投資企業は、まず「国外生産暗号製品使用登記表」に記入し、所在地の省、自治区、直轄市の暗号管理機構に提出しなければなりません。省、自治区、直轄市の暗号管理機構は、申請を受理した日から5営業日以内に、「国外生産暗号製品使用登記表」を審査したうえで国家暗号管理局に提出しなければなりません。国家暗号管理局は省、自治区、直轄市の暗号管理機構が申請を受理した日から20営業日以内に、「国外生産暗号製品使用登記表」について審査確認を行わなければなりません。使用を許可する場合には、「国外生産暗号製品使用許可証」を交付します。




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